〜その14〜保証債務

 ある借り人の保証をする人(保証人)は、その借主が債務を履行しない場合、その債務を借主に代わって
履行する責任を負う。という規程があります(民法446条)
その保証をする人に対する債務を保証債務といいます。

貸主
(債権者)
債務→

借主
(債務者)


保証人

保証人は、貸主との契約により成立し、たとえ、借主が反対の意思を示したとしても、
保証契約を結ぶ事ができます。
貸主にとって有利な特約ですので、そういう規定になったのでしょう。

保証人には原則としてどなたでもなる事ができます。
たとえ未成年者であっても可能です。
財産の無い破産者であっても可能なのです。

しかし、大きな買い物など、法律上保証人を立てなければいけない義務のある場合は
保証人には資格が必要です。
資格といっても国家試験の資格ではなく、財産面・年齢などの事です。
つまり、その債務を保証できる人で無ければいけないというわけです。

★重要:保証債務の範囲
保証債務の範囲は基本的に、元本以外にその債務に関する利息、損害賠償金など全てに
従ずるものを含みます。

保証債務の性質
例えば、借主に貸主に対する債務(反対債務)があったとします。
その場合、保証人はその反対債務を行使して相殺し、債務を軽くする事ができます。
当然の事ですが、借主は保証人が貸主に対して持っている債務を行使して相殺する事はできません。

貸主
(債権者)
債務→
←債務

借主
(債務者)


貸主
(債権者)
債務→
下記を相殺

借主
(債務者)
上記を相殺

保証人
←債務

保証人
可能なパターン
できないパターン

貸主に対して起こった効力は保証人に及びますが、
保証人に対して起こった効力は貸主には及びません。
例えば、借主が、貸主に対して時効の中断を承認したばあい、保証人に対する時効の中断も
しますが、保証人が時効の中断を承認しても、借主の時効は中断しません。

しかし、借主が債務を増額した場合などについては保証人には影響はありません。