〜その17〜相続についてA

 前回、どんな人が相続人になれるのか。というお話をしました。
今回は、いろんな条件を含めて、パターン別に説明をして行こうと思います。

遺言による相続割合が決められている場合を除きます。

このように、ごくありがちな家庭だったとします。
夫・妻に、子供3人ですね。
ここで、夫が無くなり、財産5000万円が残っていたら、
どうなるでしょう?

 まず、この場合は、配偶者と第一順位の子だけですので、全員が相続権を
もつ事になります。
で、割合としては、妻が半分、残りが子供になるわけですから・・・
妻(2500万)、子供(833万×3人)と言う事になります。
次は、あってはならない例なのですが、
もし、仮に夫に内縁の妻がいたとして・・・
子供がいた場合はどうなるでしょう?
(財産6000万円)

この場合、まず、@例と同じように、妻が半分となります。
内縁の妻・夫には相続権はありません。
が、子供には相続権があるのです。
婚姻している間に生まれた子供(青囲み部分)を嫡出子(ちゃくしゅつし)
婚姻関係のない間に生まれた子供(赤囲み部分)を非嫡出子といいます。
非嫡出子の相続割合は、嫡出子の半分となります。

つまり・・・
・妻が半分、(6000÷2=3000万円)
・嫡出子(6000÷2×(4/5)=2400÷2人=1200万円)
・非嫡出子が(1200÷2=600万円)
となります。
(※嫡出子を2、非嫡出子を1として計算しました。)
3番目は、もし、相続できるはずの子供が
先に死亡していて、孫がいる場合です。
(財産8000万円)

この場合、孫は親(夫の子)の、代わりとして相続を受ける事が出来ます。
これを、代襲相続(だいしゅうそうぞく)と言います。
もし、孫も死亡していて、その孫の子がいる場合、孫と、さらに子を代襲して
相続を受ける事も出来ます。
ただし、この場合、死亡した子が、相続の放棄を行っている場合には
代襲相続は適用されません
(もともと「子」が相続を受ける気が無いと言う事から、
その子(孫)は相続を受ける事が出来ない)
代襲相続は、元の子と同じ割合の相続権をもっていますので・・・
妻・・・(8000÷2=4000万円)
子・・・(8000÷2×(1/2)=2000万円)
孫・・・子と同じ(2000万円)
と、なります。
次は、婚姻している夫・妻に子供がいない場合
です。
この場合、第一順位の子がいないのですから、
第2順位の直系尊属(親など)に相続権が
与えられます。
(財産6000万円)

直系尊属の相続割合は、3分の1となります。
つまり・・・
妻・・・(6000×(2/3)=4000万円)
両親・・・(6000×(1/3)=2000÷2人=1000万円)
と言うふうになります。

また、両親もいなく、兄弟姉妹のみの場合は、割合が
妻(3/4)、兄弟姉妹(1/4)÷人数 というようになります。
次は、ちょっとややこしいのですが、
父母の片方を異とする兄弟姉妹
の場合の説明をします。
(財産8000万円)

この場合、子供がいなく、両親も死亡しておりますので、配偶者と兄弟姉妹の相続と
なりますよね。
しかし、父親は、一度離婚し、再婚して子供がいる為、兄弟は3人いる事になります。
民法では、父母の片方を異とする兄弟姉妹(赤囲み)の相続分は、
父母の双方を同じくとする兄弟姉妹(青囲み)の半分とする、と定められています。

つまり、相続分は・・・
妻(配偶者)・・・8000×(3/4)=6000万円
子(青囲み)・・・8000×(1/4)×(2/3)=1333万円
子(赤囲み)・・・8000×(1/4)×(1/3)=666万円
というようになります。
(※青囲みの子を2、赤囲みの子を1として計算しました。)
また、ちょっとややこしいのですが・・・
両親が無くなり、兄弟姉妹も死亡し
その子(おい・めい)がいる場合です。
(財産6000万円)

上のほうで代襲相続の話をしましたが、子だけでなく、兄弟姉妹にも代襲相続は認め
られます。しかし、それは兄弟姉妹の子(おい・めい)に限られます。
つまり、上の図で行けば、青囲みの子のみとなり、もし、青囲みの子が亡くなっていた場合
その子(赤囲みの子)は代襲相続は出来ないのです。
財産割合としましては・・・
妻(配偶者)=6000×(3/4)=4500万円
兄弟姉妹の子(おい・めい)=6000×(1/4)=1500万円
つまり、兄弟姉妹と同じ額という事ですね。

今回、ありがちな6例を見本にしてみましたがいかがだったでしょうか?
これを基本にすれば、他のパターンでも大抵のものは分かると思います。
最後に、割合の一覧表を載せておきます。

法定相続人
法定相続分
第一順位配偶者
配偶者1/2、子1/2(非嫡出子は嫡出子の半分)
第二順位
直系尊属
配偶者2/3、直系尊属1/3
第三順位
兄弟姉妹
配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

これは、あくまで法で定められている分です。
遺言などにより決められている場合は、その割合となります。
(遺留分としての請求も上の法定分までとなります)