3.高さの制限

前にお話しました「都市計画区域内」の地域(用途地域といいます)
には、面積の制限以外にも、高さの制限も絡んできます。

特に、第一種(二種)低層住居専用地域のばあい、高さの絶対限度というものが規定されており、
10mまたは12mまでの高さしか立てることができなくなっております。

10mといいますと、一般の木造住宅では3階建てが建てられますので、
個人住宅の場合は、まず問題は無いと思います。

しかし、高さの制限にはそれ以外にも、下記のようなものが存在します。

@道路斜線制限
A隣地斜線制限
B北側斜線制限
@道路斜線制限
道路からの距離によって高さの制限が定められます。
もちろん、道路の幅が広ければそれだけ制限が和らげられますが、
4m未満の道路になると、かなり制限が厳しくなる場合があります。
A隣地斜線制限
隣地からの距離によって高さの制限が定められます。
隣地斜線制限は、ある定数に20m(または31m)を加算する算定方法
ですので、斜線制限の中では最も制限の柔らかいものになります。
B北側斜線制限
第一種(二種)低層(中高層)住居専用地域にのみ定められています。
北側からの距離によって、高さの制限が定められ、非常に厳しい制限となります。

@・Aの制限には「後退距離」の緩和が規定されております。
道路の境界より、建物が後退していれば(普通は道路に直接建物がつながる事はあまり無いですよね)
その分だけ道幅(隣地との境界)を広くすることができる。という緩和規定です。

上の図が、緩和の含まれた高さ制限になります。
本来、道路からの高さ制限になりますとAの部分の斜線制限になるのですが、
後退距離が発生した分、道路の反対側からも同じ距離を緩和距離
として後退させることができます。
道路幅が5m、道路境界から建物までの距離が2mのときは、
道路幅5m+後退距離(家側)2m+後退距離(反対側)2mの合計9mの道路として換算できるのです。
つまり、Bの高さまで建てることができるようになります。
上の図ですと、後退していなければ完全に制限にかかる建物となってしまいますが、
後退をしたことによって、高さ制限にかかることがなくなっていることがわかります。

ちなみに、この後退距離の緩和はBの北側斜線制限にはありませんので、
敷地の北側が境界に近い建物になると高さの制限にかかる可能性が発生してしまいます。