あなたのお家は大丈夫?(地震編)

阪神大震災が発生してから、早9年が経過しようとしております。
大きな地震というのはそうすぐに起こると言うわけではございませんが、
ひとたび起こってしまえば大惨事につながりかねません。

地震の被害というもので一番大きなものは「地震後の火災」と言われています。
地震が起こった後は、水道・電気などの設備機関が正常に作動しなくなる可能性が高く
普段であればすぐに消せるような火事も消火活動に向かうのが難しくなります。
そうなれば、そこから火が燃え広がり・・・という風になってしまうのです。

しかし、火災が起こる原因は倒れた建物で使用していたガスなどから・・・
と言うものが多くを占めており、建物が壊れなければ例え周りで火災が起こっても
延焼を免れる事が出来るのです。

もともと、住宅の外壁は防火性が十分あるものですが(当然ですが)、
建物が壊れてしまえば、柱などが剥き出しになってしまいます。
そうなってしまえば、延焼と言う話は全く関係がなくなってしまいます。

地震に強い建物は、火事にも強い建物へ自然と繋がっていくかもしれません。

それでは、地震に強い建物って何?
と思われた方へ、簡単に説明していきます。

地震に強い=揺れに強い建物。
地盤との緊結が堅固であり、また、構造体である柱・梁・壁・床が一体となって
揺れを支えるものと言えます。

重い建物と軽い建物。
地震に不利な建物はどちらだと思いますか?

実は、重い建物のほうが不利になります。
重いから、安定しているのでは・・・?
と思うかもしれませんが、重い分それだけ揺れのパワーを大きく吸収し、
建物自身に反動を与えてしまいます。
特に、瓦屋根の建物には、建物の上と床に近い部分で揺れの差(ひずみ)が起こってしまうので、
大変危険です。

地震に対抗するための要素

①壁の量・・・壁の量は多ければ大きいほど良いですが、ただ多ければ良いと言うわけではござい
ません。建物に対してバランスよく設置することが重要です。

②部屋の大きさ・・・一般的にリビングダイニングなどが設置される1階はほかの上の階よりも
部屋の大きさが大きくなりがちです。しかしこれは実はあまり良くない事で、
1階と2階の壁の位置のバランスも取っておくことが重要です。
特に、3階建てに多いのですが、1階をピロティ(柱だけの空間)にしてそこを駐車場として
利用する方もおられますが、実はこれが一番危険であったりします・・・
しかし、それでもきちんとそのピロティの部分に少しの壁を持ってくるだけで
耐震性は大きく向上します。

③重芯と剛芯・・・重芯は、その建物の重さの中心になります。
剛芯は、揺れが発生したときに回転(縦揺れ・横揺れ)の中心となる部分です。
この、重芯と剛芯が大きくずれてしまうと、例えきちんとした建物であっても
ひずみが発生して破壊へつながる原因となります。

④筋交い・・・筋交いは壁と柱を緊結する部材
で、主に地震力・風圧力に耐えます。
右の絵を見ていただけたら分るとは思います
が、いわゆる突っ張り棒のような形になる訳
です。
これがいわゆる「耐力壁」と言われるものの
大元になります。
さらに、筋交いを×の字に入れたものを
「たすき掛け」といい、さらに耐震力が
増大します。


⑤2×4「ツーバイフォー」住宅・・・ツーバイフォーの住宅は、上のような筋交いや柱による作りではなく、
壁をひとつの部材として扱います。「枠組壁式工法」ともいわれ、壁で横からの力を受けるので
安定した耐震力を持つことが出来ます。

⑥基礎・・・基礎は、建物の自重を分散させるだけではなく、唯一地面と直接接している部分です。
基礎と直接的なつながりを持つ部材は「アンカーボルト」になるわけですが、このアンカーボルトの施工の状況
によっても地震に対する力が大きく変化します。

⑦地盤・・・地盤が強くなければ、不同沈下や建物の傾きの原因になるばかりではなく、大きな地震がおきたときには
液状化現象などによる建物の倒壊を招く危険性があります。
そのためにも固い地盤まで到達する杭または、基礎が直接固い地盤に設置している
事も耐震力には大きく影響していると言えるでしょう。

建物の種類によって起こりえる状況は以下のとおりです。
建物の種類
特徴・起こりえる状況
木造 在来工法
(軸組工法)
柱や梁、床などがそれぞれ独立し、それらを金物で固定している構造。
金物の緊結力が弱いとそこから破断し、さらに力が偏心して大きな破損
を招く危険があります。
部材を適材適所に入れず、不足したような状況であっても同様な破損
が起こります。
2×4工法
(枠組工法)
壁・床を一体型にしているため、大きな耐震力を持つ構造です。
しかし、金物をきちんと施工していないとそこに大きな力が集中する
危険性があります。
2×4の住宅は施工は容易なのですが、非常に金物が多く、
よく注意しておかないといけないものなのです・・・
鉄骨造 鉄骨をボルト・溶接などで接合している構造。
地震に対しては弾性(ねばり)によって揺れの力を吸収し耐える構造です。
ボルトの接合や溶接・部材の不足さえなければ地震に対しては強い構造
にはなりますが、怖いのはその後の火事です。
鉄骨像は木造に比べて火災に遭うと一気に壊れてしまいます。
そう・・・あの貿易センタービルのように・・・
熱に弱いので、防火対策は重要になります。
(木も燃えはしますが、火事の後を見ると大きな柱や梁はそのままの姿に
 残っていますよね?なので大きな破壊が一気に起こる可能性は鉄骨造
 よりは多少少ないのです)
RC造
(鉄筋コンクリート造)
鉄筋とコンクリートによって作られている建物です。
地震に対しては、コンクリート自身が重く揺れの力に耐えようとして保つ
構造です。
基本的に地震や火事に対しては非常に強い建物になるのですが、
粘りの無い構造のため、大きな力が一点に集中するとそこから脆性破壊
(ぜいせいはかい・・・一気に壊れてつぶれてしまうような破壊)をもたらす
危険性があります。
開口部横の短い柱など・・・
しかし、少々の地震ではびくともしない筈です。


じゃあ、うちは一体どうなの?
と思う方へ。この前テレビでやっていましたが、
国土交通省が「我が家の耐震チェック」と言うホームページを立ち上げていました。
これは、実際に自分の家の配置を入力し、壁を設置した後に揺れによるシュミレーションで
どうなるかを試してみるもので、ゲーム感覚で出来るソフトです。

耐力壁などの状況は、付属のマニュアルか、お持ちの図面から判断することが出来ると思われますが、
分らないー!!とおっしゃる方は私に聞きに来られても全然構いませんよ。

お正月休みでゆっくりお過ごしの方・気になさっている方はぜひやってみて下さい。
※・・・ただし、結果はあくまで予想です。この結果を見てショックを受けることもあるかもしれませんが
慌てず、すぐに対処と言うことも必ずしもありませんのでご注意くださいね
※・・・上のように書いているのは、シュミレーションの時危険と判断された建物は、
ものの見事に完全倒壊してしまうからなのです・・・