コンクリート打設時の注意点
コンクリートはセメントと水と砂と砂利を一定の割合で混合したものでセメントと水の水和反応により固まっていきます。また、現在ではコンクリートは普通、プラントと言われる工場で混ぜられミキサー車という車で運ばれていきます。 つまり、プラントから現場までにくる時間は、コンクリートの固まらない時間で運ばなければなりません。 さらに、ちょっと固まりかけたといって、水を混ぜてしまうと強度は急激に下がってしまいます。 ちなみに、コンクリートの運搬時間は夏場で60分以内、冬場で90分以内が目安になっています。 コンクリートが打ち終わると、硬化するまで何日か養生期間を置きます。 その後、型枠を外し土を埋め戻し、建て方工事の準備が始まります。 コンクリートの強度について
コンクリートの注文を行うときには「21−18−20」という注文のやり方を行います。初めの21は「コンクリートの強度」を指し、単位は21N/o3(ニュートンパーミリりゅうべい)と言います。 これは、1o2(1ミリりゅうべい→1立方ミリメートル)あたりに21Nという圧縮の力に耐えられることを指します。 5年程前に制定されたSI単位(国際規格の統一単位)によって、以前はkgという単位を使っていたのですが、Nに変更 されることとなりました。ちなみに1N≒9.8kgですので、上の21Nはおおよそ以前の210kgとなります。 真ん中の18というのは「スランプ」の値になります。スランプにつきましては下記の「コンクリートの試験」の部分を お読み下さるとわかると思います。 最後の20は、最骨材(砂利)の最大粒径を指します。つまり、このコンクリートの中にある砂利は最大直径20ミリまでの 物を指すということです。 基本的には、強度は高く、スランプは低く、最大粒径は大き目のほうが良いコンクリートになりますが、ある程度の限度 がありますので、そのあたりは、現場の状況で多少の変動があります。 コンクリートの試験について
コンクリートの試験にはスランブ試験と塩分試験と圧縮強度試験があり、普通いっしょに行われます。スランプ試験とはコンクリートの柔らかさを計るもので、コーンの中にコンクリートを入れ、コーンを引き上げた後に、 コンクリートの下がった高さを測ります。 例えば、プラントにスランプ18で頼んでいたとして、スランプ試験の合格範囲は±2.5cmですので、 20.5cm〜16.5cmになります。 塩分試験は、コンクリートの中の塩分量を測る為のもので、基準は0.30kg/m3です。 塩分量が基準値を超えてしまうと鉄筋に錆ができてしまいます。 また、圧縮強度試験とは、現場でテストピースというものにコンクリートを入れて、1週間後・4週間後に 圧縮の強度を試す試験です。 スランプは、少ないほうが硬く強いコンクリートになりますが、低すぎるとコンクリートが打ちにくく施工性が下がるので 打ち継ぎやジャンカ(穴)の発生の原因となります。よほど管理をしていない限りうまく打てません。 コンクリートを打つ際には「バイブレーター」という棒型振動機をコンクリートの中に入れて流れを良くします。 この際、バイブレーターが鉄筋に当たってしまうと水の表面張力で鉄筋とコンクリートがうまくくっつかないようになる 可能性がありますので、注意が必要です。 ちなみに一般建築の基礎では15〜18。土間(スラブ)のコンクリートでは12〜15くらいが適当な値となります。 いくらスランプが低くても、現場で水を入れたらすべてがパーになってしまいますので絶対にそのようなことをさせない ことがコンクリートの最低管理項目となります。土木の橋梁工事ではスランプ5以下の非常に硬いコンクリートを 使用する例もあるそうです。 塩分試験は、普通の砂(川砂)であれば、特に問題はありませんが、最近は砂不足から海砂を利用することもしばしばです。 もちろん、コンクリートの調合時には洗った海砂を使いますので問題はありませんが、万一のために塩分試験を行います。 しかし、0.30kg/m3を超えるようなことはよほどのことがない限り発生しないと思います。たいていは多くても0.10kg/m3 位の結果になることが多いようです。 ちなみに、塩分がなぜ重要視されるかといいますと、基礎コンクリートには鉄筋を使用するから・・・といえば分かりますよね? いくらコンクリートのかぶり厚をとっていても、コンクリートに塩分が多ければそのかぶり厚の無くなる前に鉄筋が錆びて しまうからです。 鉄筋が錆びると膨張して、基礎コンクリートを破壊してしまいます。 こうなると、強度なんていう場合ではなくなってしまいます。 |