建方工事

建方工事とは、建物の骨格である、柱・梁・土台・桁といった
建物の骨組みを行う工事です。この工事が終わると建物の
形がはっきりしていきます。
また、建方工事といっても、構造の種類により様々な工法を
とる事になります。

構造の種類(青字をクリックすると詳細が見れます。)
木造(在来工法) 今まで日本で造られてきた工法によるものです。
様々な部材を接合していく事により建てていきます。
軽量鉄骨造 近年普及してきた、いわゆるプレファブ住宅です。
工業化住宅ともいわれ、部材を工場でパネル化して
現場で建てるため、工期が短くなります。
ツーバイフォー工法 北米で生まれた木造の1種なのですが、在来工法と
はちがい、部材をパネル化して、パネル同士を結合
していくため、柱や梁といったものがなく工期が少な
くすむ工法です。
鉄筋コンクリート造 壁・梁・床などを鉄筋コンクリートで造っていく工法
です。非常に強い工法ですが、コンクリートの為、
工期がかかってしまいます。(硬化時間が必要)


私の知っている範囲では、上記に挙げた工法が、現在主に一般住宅で建てられて
いる工法です。(このほかにも幾つか工法はあります。)




木造
木造の建方は、柱・梁などといった部材を継ぎ手や金物により接合していきます。
まず、基礎工事が終わった後、基礎の天端をセメントペースト(セメントと水を混ぜ
たもの)で、高さを均一にします。その後、土台を設置し、柱を立てていきます。
基礎と土台はアンカーボルトで、土台と柱は継ぎ手+金物で緊結します。
ちなみに、柱には2種類あり、1・2階を1本で立てる通し柱と各階の長さの管柱とが
あります。
その後柱と柱をつなぐ部材が出てきますが、妻側(長さの短い面)の梁を妻梁、桁面
(長さの長い面)の梁を敷梁といい、また外周面の横架材で、2階の桁側は軒桁、
1階と2階の間にあるものを胴差といいます。(詳しくは上の図を見ると分かると思い
ます。)
用語の補足・・・頭つなぎ→柱と柱をつなぐだけの部材です。(力は受けません)
隅柱→建物の隅にある柱です。隅柱は通し柱になります。
横架材→梁や桁のように横をつなぐ部材の事です。
金物→金物といっても色々な種類の物があります。詳しくは、用語一覧
継手→2つ以上の部材を交差するようにつなぐのもです。詳しくは、用語一覧
仕口→部材同士をつなぎ、1本のようにするものです。詳しくは、用語一覧
このように、建方工事は非常に複雑な工事になります。また、柱や梁というものは、
主要構造部という建物の中では構造的に重要な部分ですので、施工が悪ければ
地震などで耐える事の出来ないものになる可能性があります。
軸組みの次は小屋組に入ります。
小屋組みとは、屋根を作る為の下地のようなもので、大きく分けると洋小屋和小屋
に分かれます。
和小屋と洋小屋では荷重の分散の仕方が変わります。
和小屋では、荷重は小屋束を通し小屋梁に直接力がかかります。そのため、小屋梁
の大きさは大きくなければなりません。しかし、施工が簡単な為経済的にできる工法
です。
洋小屋は、上からの荷重を方杖により分散化できるので、梁の大きさは和小屋ほど
は必要ありません。また、各部材の大きさも和小屋ほどにはならないので小屋組自体
の重さも大きくなりません。しかし、部材の数が多くなる為和小屋よりも施工に時間が
かかってしまいます。
まとめると、一般住宅のような小規模であれば和小屋、規模の大きい建物や梁間の
大きい建物は洋小屋にするのが良いでしょう。

しかし現在では、洋小屋組のほうが一般的に普及が進んでいるようです。
小屋組みが出来ると、次は床を組み立てていきます。(床組)
床組みとは、床板を張る為の下地のようなもので根太が部屋の短い方の辺と水平に入
ります。
まず、土台と土台を大引きという部材で結び、大引きの上に根太という床板の下地
を打ちます。普通、根太は部屋の短い側に並べていきます。また、土台と土台の間
隔が大きい場合は、床束により支えます。(束石は、基礎工事の時に施工)
2階の床組も1階と同じように行います。大引きが2階梁になったと思って下さい。
1階の天井は梁に吊木受けを通し、吊木受けから吊木を金物で固定します。
吊木を天井の野縁受けと固定し、根太と同じ方向(部屋の短い方)に野縁を通します。
野縁に天井の材料を固定すれば天井の完成です。

床組まで終わると次に壁の下地を組み立てていきます。
柱と柱の間に貫(外壁の下地になります)を入れ、部分的に、補強材
として筋違を入れます。
筋違(すじかい→筋交いとも書きます)は、主に水平の力に耐える
補強材です。
柱との金物による緊結を行う事で地震や強風に耐える事ができます。
しかし、筋違の配置を間違えたり、1面でのバランスが悪いとうまく力
に耐える事ができなくなる可能性があるので注意が必要です。



軽量鉄骨造
軽量鉄骨造は鉄骨の柱や梁を組み立てた後、パネルを固定していきながら
組み立てていきます。その為、施工が容易であり工期が短縮できます。
パネルは、床のパネルと壁のパネル・屋根のパネルからなり、それぞれを
ボルトにより固定していきます。パネルは工場によりあらかじめ作られてい
て、外壁パネルは鉄のフレームに外壁を繋いでいる状態になっています。
詳しい収まりや構造などは、パネルの構造が非常に複雑な事と住宅メーカー
により多少異なりますので、ここで紹介するのは割愛させていただきます。



ツーバイフォー工法
ツーバイフォー工法は、床・壁・屋根を木造のパネル化として、パネル同士を
組み合わせて立てていきます。この工法は、パネルを組み立てていく為、非常
に簡単に施工ができます。ただし、施工時は決まった金物を決まった間隔で入
れていく事や面全体で力を受ける為、開口部を自由に設定できない所があり
ます。
各パネルの中には梁や柱のような効果を持つ部材が枠になり、その中に桟が
あり、両面を板材によりくっつけてパネルにしています。つまり、パネル自身が
構造体になっているので、自由な配置ができないという事になります。



鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造は、基礎の工事と同じようなやり方になりますので、
まず、スラブ(床版)という床の鉄筋を組みたてていき、壁の配筋を行います。
その後、型枠を組み立てていきますが、壁や2階床などコンクリートを打つと
重さに耐えられなくなる可能性がある所は、支保工というパイプのようなもので
支えます。
その後、コンクリートを打ち養生期間を置きますが、コンクリートの為硬化時間
はかかってしまいます。しかし、コンクリートの場合は壁の打放し(そのままの仕
上げ)にする事ができ、施工の品質が良ければきれいに仕上がります。